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2013.12.24

クリスマス(ぷち)リプレイ 第1話

クリスマスシナリオ3本立て(予定)です!

第1話は続きからどうぞ。

-12/24 夕刻-

ScreenShot_20131220_032455130.jpg

cw_asato2.png「七面鳥食べるぞー!シャンパンもあけちゃうぞー!」
cw_asato2.png「ひとりだけどなっ!」
cw_asato2.png「…………。はぁ」


アサトはため息をついた。見間違いではないかと、もう一度壁に掛かった時計を確かめた。
リューンの街は本格的な冬を迎えていた。ガラスにひたひたとはりついて、滴に変わってゆく白い欠片が暗闇に映える。
夕刻である。亭主と娘さんがてきぱきと働いているのは、まぎれもなく夕餉の支度のためである。朝ごはんではなく。

<聖夜の街は白に染まる>

cw_asato2.png「……親父さん?なあ親父さん。マジで言ってるのか?今日何の日だ?ほんとにこんな事があっていいのか?」
宿の亭主「……お前さん、さっきから何回答えりゃ気が済むんだ?他の奴らは依頼に行ったと言っとるだろう」

暖炉には赤々と火が入り、動いていると暖かい程だ。たっぷりと酒の詰まった樽を床に降ろすと、親父は汗をぬぐって面倒くさそうに答えた。
空元気ではしゃぐ→少し落ち着く→事実を確認する、のループをかれこれ数回繰り返しているのだ。面倒にもなろう。

cw_asato2.png「…うぅ…さみしい。ちょっと寝坊したからって、オレ一人を置いていくなんてひでえよな」
宿の亭主「何言っとるんだ、聖夜だからって大酒飲んで寝てりゃそうなる。起きたのもついさっきだろう」
cw_asato2.png「うぐっ……」
宿の亭主「サリマンはさっきまでおったんだがな。なんでも今日は夜通しで警備の依頼だとか言ってたが」
cw_asato2.png「本気か?この雪の中……オレなら絶対やらねー」
宿の亭主「ははは。朝に自警隊のディルクが来とったからな、おおかた奴に捕まっちまったんだろうさ。寝てて良かったかもしれんな」

じゃあ、帰ってこないじゃねーか。雑な仕草で椅子に腰を下ろして足を組むと、アサトは拗ねた。
自業自得だろう、と思いこそすれ、それをまた指摘するのもあまり建設的ではないだろう。
そう判断した亭主は一度引っこむと、あたたかい皿を一つ彼の前に置いてやった。

cw_asato2.png「……パイ?」
宿の亭主「ああ、パーティ用に焼いたんだが焼きすぎたんだ。欲しけりゃいくらでもやるよ」
cw_asato2.png「親父さん……」
宿の亭主「…まったく何て顔してるんだ。ちょっと外の空気でも吸ってきたらどうだ?」

アサトは、無言でクリームたっぷりのパイを見た。
あったかいパイを抱えて、ちょっと外の空気を吸いに行くのも確かに悪くないかもしれない。
「そうする」、素直にそう答えると、パイをいくつか貰い、アサトは外へ出た。


cw_asato2.png「……雪だ」

宿から出るととたんに耳が冷たくなった。包みに入れて抱えたパイが、じわりと指先を温める。
ホワイトクリスマスだ。
故郷はあまり雪が降らなかったな、と、とりとめもなく考える。呼吸するたび、息は白く濁って、冬の強い風に連れ去られていった。

cw_asato2.png「カップルばっかりだな……」
cw_asato2.png「宿にいればよかった……」

……早くも後悔の念に襲われる。

ScreenShot_20131223_195207190.jpg


cw_asato2.png「………」

そっと胸に抱えた包みを開く。蓋を開けるとほわ、と蒸気が立ちのぼった。
それを大切そうにひとつ掴み上げる。
アサトは思いっきり振りかぶった。

cw_asato2.png「天罰!!!」

ScreenShot_20131223_201133229.jpg


cw_asato2.png「家でやれえ!!!………くっ」

驚いた様子でこちらを振り返った老夫婦をにらみ返すと、アサトは駆け出した。宿とは逆方向だ。

cw_asato2.png「ぬああああ!!どいつもこいつも幸せそうにしやがって!」
cw_asato2.png「悲しみは!このオレの悲しみは!!どこにぶつけりゃいいんだよおおお!!」

ScreenShot_20131223_203422455.jpg


――その日、リューンを恐怖のどん底に陥れた通り魔は、無駄に機敏であったため、
あとせっかくの聖夜だったし、寒かったし、さしものR.C.S.D.もすぐに捜査を切り上げたという。

宿の亭主は泣きながら帰ってきた冒険者に驚いたが、「少しはすっきりしたか」、そう訊いたばかりで、
彼に熱いスープを出してやった。

その日のくもつ亭の窓からは、夜のあいだじゅうずっと、あたたかな灯りが洩れ出でていたという。




第2話へ続く

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この記事へのコメント
アサト(ホロリ)
アサトの所業とサリマンの運の悪さに涙が止まりません…。

何て言うか、パイ投げスキルあってもいいですよね!(何)
Posted by Leeffes at 2013.12.24 22:06 | 編集
>Leeffesさん
ううっ、ありがとうございます。その涙で少しは浮かばれる事でしょう…(アサトとサリマンの魂が)
クリスマスな技能にリア充にパイ投げ技があってもいいかもですね!かわいそうな人用に…。

…ていうかまたLeeffesさん店シナリオ伝説が新たな幕開けを飾ってしまう!?:(;゙゚'ω゚'):
Posted by くもつ at 2013.12.24 23:59 | 編集
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